全体研修会「障害者支援の理解」~ケアマネジャーに期待するもの~  講師:小澤 温 氏

■日 時:平成27年6月12日(金)15:00~ (第14回研究大会時)
■会 場:横浜パシフィコ 会議センター4階 419会議室
■参加者:認定ケアマネジャーの会会員 155名  その他 45名  

日本ケアマネジメント学会in横浜 認定ケアマネジャー全体研修の感想

            中央金沢朱鷺の苑 居宅介護支援事業所 山本 治美

6月12日(金)午前から新幹線かがやきにて東京へ。会場のパシフィック横浜に着いたのはちょうど12時だった。今回は老年学会のランチョンセミナーと認定ケアマネジャー総会ののち、全体研修に参加した。
全体研修会では「障がい者支援の理解」~ケアマネジャーに期待するもの~と題して、筑波大学大学院人間総合研究科教授の小澤温先生のご講義。障がい者の支援に携わった先生の芯のあるお話がとても新鮮だった。 特に例を挙げると、ソーシャルスキルトレーニング(生活に戻るためのトレーニング)という言葉がある。退院後から一人で生活することになる精神疾患患者は、自宅に戻るため社会的適合へのトレーニングを行う。そこで、注目したいのは、ICFの視点。ICFは高齢者自立支援のケアマネジメントで、随分前から知り得ていたものだと認識していたが、本来の多面的捉え方に加えて大事な視点が、「関係性」。できる・できないの世界ではひっかかってこないものが「関係性」と言える。つまりアセスメントで「できる・できない」「している・していない」を見極めるその前に、支援者とクライアントがうまく関係性ができているかどうかであると、講師は述べる。高齢者支援では「インテーク」から話が進むけれど、障がい者では「アウトリーチ」から進むのであると。 関係性ができていないところからの発掘であり、関係づくりが求めれるからだ。これが、支援場面で情緒のコンロトールがうまくいかないクライアントには、「好きなことをさせることで情緒を安定させる」であったり、「ほめる良い評価」で自尊心を大事にしたり、家族関係が悪ければ口論の原因を分析し、良い点を伝えるなど、支援の関係づくりに工夫がされると聞き、とても参考になった。
障がい者支援では パーソンセンタードプランあるいはパーソンフューチャードプランといい、個人中心の計画をつくる。高齢者支援では「維持」に重きを置くケースが多い中、障がい者では「伸びる・成長する」を重視。クライアントがやりたい事を生み出す動機づけとなるものを探すという。クライアントの意志決定こそ、自立への支援。そのためには一方向ではなく、「お友達」的なゆるやかのサポート関係を構築し、支えていく。用がない会話も重要で、用が無いと話さなくなるのはよくないという言葉は、目からうろこだった。普段からの関係性ということだ。自閉症協会の会長の言葉が紹介された。日本は事前に訓練して世に出す。英国は世に出してから訓練する。この違いがあるとのこと。つまり「支援する」ということは、「当事者の挑戦する機会を奪うこと」だという。それよりも「自信を持つ機会を作る」必要がある。コミュニケーションの中でアセスメントするのだ。積極的専門的介入には二つの視点、リスク管理と意思決定がある。どちらかを優先するとどちらかが劣性となる。その采配。ソーシャルワークにおける対話合意形成重視これは時間がかかるプロセスである。ストレングスモデルに見る利用者主体性、「本来能力はあるのだ」という意識。つまり潜在的な力が重視されているのだ。
普段の仕事を見てみよう。利用者主体と言いながら、家族主体になっていないだろうか。また、サービスありきになっていないだろうか。支援により本人の挑戦意欲を低下させていないだろうか。「本来能力はあるのだ」という視点は、高齢者も同じ。支援者である自分たちの姿勢についてもう一度立ち戻り、視点を変えた援助の可能性について見直すことができた。

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